つくばねの みねより落つる みなの川 こひぞつもりて 渕となりぬる
13番 陽成院
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ
36番 清原深養父
しのぶれど 色にいでにけり わがこひは ものや思ふと 人の問ふまで
40番 平兼盛
こひすてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか
41番 壬生忠見
あひみての のちの心に くらぶれば むかしはものを 思はざりけり
43番 権中納言敦忠
みかきもり 衛士の焚く火の 夜はもえ ひるは消えつつ ものをこそ思へ
49番 大中臣能宣
君がため 惜しからざりし いのちさへ 長くもがなと 思ひぬるかな
50番 藤原善孝
おほけなく うきよの民に おほふかな わがたつ杣に 墨染のそで
95番 前大僧正慈円
風そよぐ ならの小川の 夕ぐれは みそぎぞ夏の しるしなりける
98番 従二位家隆